移動困難者の今と支援活動のこれから NPO法人移動支援Rera


(以下は、月刊杜の伝言板ゆるる2015年10月号に掲載された記事を、杜の伝言板ゆるるの許可を得て転載したものです。取材・文/地星社 布田)

 移動支援Rera(以下、レラ)は、石巻地域において高齢者や障がい者などの移動支援を行っている団体です。震災後、身体的・経済的理由による移動困難者を対象に送迎ボランティアを行い、2013年2月にNPO法人化しました。毎月延べ1800人ほどを送迎し、送迎目的の9割は通院です。

石巻の移動困難者の今

 石巻では今年の4月頃から復興公営住宅への入居がどんどん進んできました。狭くて壁も薄く、居住環境のよくなかった仮設住宅から復興住宅に移ることで、被災者の住居の問題も改善することが期待されていました。しかし、復興住宅への転居が必ずしもよい結果とならず、問題を引き起こしているケースも出てきています。

 仮設住宅ではお茶っこ飲みのような集まりがありましたが、復興住宅ではそれがなくなり、また外からの見守りの目が入りにくくなりました。被災者にとっては待ち望んでいたはずの復興住宅だったのに、行く場所がなく、家に引きこもるようになってかえって体調を悪化させた人もいます。新しい住宅に入ったあとの孤立はすでに始まっていて、レラの利用者からは「仮設に帰りたい」「仮設のお茶っこに送迎してほしい」「病院以外に出かけるところがない」との声も聞かれます。

 また、復興住宅はできたものの、交通インフラの整備は進んでいません。駐車場や周辺の道路がまだできていないところもありますし、バスや乗合タクシーについても復興住宅の入居開始後、経路の変更や運行エリアの拡大はされていませんから、交通に不便がある状態です。

データから見えてきた移動困難者

移動困難者調査報告書
移動困難者調査報告書

 移動困難者の実態を把握するため、レラとNPO法人地星社は共同でレラの利用者を対象にアンケート調査を実施し、今年3月に報告書にまとめました。調査の結果、一人暮らしもしくは二人暮らしで70歳以上の高齢者が約半数を占めることがわかりました。その多くが年金暮らしの低所得世帯です。震災後に住まいが変わった方は約半数で、震災の影響もあるものの、もともとあった移動困難の問題が震災後に顕在化してきたことがデータから窺えました。

 また、移動困難者というと、車いすの方や寝たきりの人などがイメージしやすいかもしれません。しかし、利用の実態としては介護認定を受けていない人が4割、軽度である要支援の人が3割弱でした。介護認定を受けるほどではなくとも、歩行が不安定な方にとっては長い距離を移動するのは大変なことです。そうした方が外出自体を控えて家にこもるようになると、より歩行の能力が衰えてしまうおそれがあります。かろうじてまだ自力で歩ける人に外出の機会をつくることは、単に移動を助けるということだけでなく、健康の維持と孤立の防止をサポートすることにつながります。

 移動困難者の問題は震災に伴う一次的なものではなく、特殊なものでもありません。高齢化が進むとともに移動困難者は増加し、適切な対応ができなければ問題は深刻化するでしょう。

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