内閣府の自殺対策のサイトで自殺の統計情報(自殺の統計 – 内閣府)が公開されています。そのデータをもとに、2009年から2013年までの自殺者数の推移を調べてみました。

 13年については9月までのデータが出ているので、9月までの累計を9で除し、それを12倍して年換算値を出しています。被災三県の全市町村についてデータを調べましたが、そのうちいくつかの自治体を選んでグラフをつくりましたので、以下に掲載します。

 個別の自治体を見ると、それぞれ状況は違いますが、すごく大まかに言うと、沿岸被災地では11年、12年で自殺者数が減り、13年で増えているという傾向があるようです。特に宮城県の被災地ではその傾向が強いようです。あと、見過ごされがちですが、沿岸被災地ではない地域に自殺率の高い自治体が多くあります。そういったことにも目を向けていく必要があるでしょう。

 被災三県全市町村についてのデータはエクセルファイルにまとめているので、詳細はそちらでご確認ください。ファイルは以下からダウンロードしてください。

岩手県

 宮古市、大船渡市、久慈市、陸前高田市、釜石市、大槌町、山田町についてグラフにしました。

 あまり明確な傾向はありませんが、自殺は減ってきているように見えます。今後増加に転じないか注意深く見ていく必要があります。宮古市は11年、12年と減りましたが、13年になってまた増加に転じています。

岩手県自殺者数グラフ1309

宮城県

 仙台市宮城野区、仙台市若林区、石巻市、気仙沼市、名取市、東松島市、亘理町、山元町についてグラフにしました。

 11年、12年と減少していたのが、13年になって増加に転じている自治体が多いです。非常時から平時となり、震災前の水準に戻ったとだけなのか、それとも今後も増加していくのか、注意して見ていく必要があります。気仙沼市については、震災前よりも明らかに増加しており、いっそうの対策が求められます。仙台市若林区は、12年から13年の自殺者数が、今回取り上げた8地域の中では唯一減少しています。

宮城県自殺者数グラフ1309

福島県

 福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、相馬市、二本松市、南相馬市についてグラフにしました。

 減少もしくは横ばいの地域が多いです。

福島県自殺者数グラフ1309

 福島、郡山、いわきという三大都市が入っていると小さい都市の自殺者数の推移がわかりにくくなるので、三大都市を除いたグラフもつくってみました。そうすると、沿岸部の相馬市では、12年にやや減少して13年に増加しており、宮城県沿岸部の被災自治体と同じ傾向があることがわかります。同じく沿岸部の南相馬市については横ばいのようです。

福島県自殺者数グラフ4都市1309

 原発事故のあった双葉郡での自殺者数について、積み上げ棒グラフにしました。震災後の自殺者数は減っていますが、居住地ベースのデータなので、住んでいる人が避難して大幅に減ったから統計上の自殺者数も減っているのではないかと思われます。各地に避難している人はどうなっているかというのは別に調べる必要があるようです。ちなみに内閣府の自殺統計では、東日本大震災に関連した自殺者数のデータも公開しています(自殺の統計 – 内閣府の「最新の震災関連自殺者数」を参照のこと)。

福島県双葉郡自殺者数グラフ

(文責:布田)

経緯

 地星社では、復興支援活動団体へのインタビューを通して、被災地における課題を示していくという取り組みを行っており、インタビューサイト「フィールドノート」を開設しています。今後は、団体へのインタビューと合わせて、その課題の背景となるデータも調べて掲載していく予定です。例えば、子どもの居場所づくりに関しては不登校のデータ、在住外国人の支援に関しては自治体ごとの在住外国人の人口のデータなどです。

 自殺については、まだこの問題に取り組んでいる団体にインタビューをしていませんが、被災地における重要な問題の一つであると考え、先行してデータを調べました。

ご協力のお願い

 地星社では、自殺の問題に限らず、今後も被災地での課題について統計情報を調べるなどの活動を行っていきます。それから、地域やテーマによっては現場で取り組んでいる団体と共同で、より詳細な調査を行うこともしていきたいと考えています。こうした調査に参加したい個人の方や、共同での調査に関心のある団体の方はお問い合わせください。

 また、こうした調査についてご支援いただければ幸いです。クレジットカードもしくはゆうちょ銀行の振替口座での寄付を受け付けております(地星社への寄付)。何卒よろしくお願いいたします。