2014年衆議院選挙が行われるにあたり、各政党の選挙公約からNPO・NGOに関する部分を抜き出しました。NPO・NGOについて言及しているか、NPO全般に関わるものだけを取り上げています。

 なお、掲載の順番は衆議院における公示前の議席数順です。

参考:衆議院選、各党のNPO政策を比較する | NPOWEB(2012年衆議院選挙)

自民党
民主党
維新の党
公明党
次世代の党
共産党
生活の党
社民党
新党改革

●自民党

自民党 政権公約2014(PDF)

自民党の政権公約においては、NPOという言葉は使われていない。女性活躍の箇所に「NGO」という言葉が出ている。

II. 地方創成・女性活躍推進
〈すべての女性が輝く社会の実現を〉
 国際協力に係る企業やNGOの活動において、女性の活躍に注目し、官民連携を強化します。

なお、自民党は昨年の参院選、一昨年の衆院選では、重点政策を掲載した政権公約の他に「J-ファイル 総合政策集」という分野別に多様な政策を掲載したパンフレットを作成していたが、今回の衆院選では総合政策集を発表していない。過去の総合政策集においては、ソーシャルビジネスの推進、地域コミュニティの再生、生物多様性の保護、生活困窮者支援等の項目でNPOに関する記載もあったことを付記しておく。

自民党 政策パンフレット(過去の政策パンフレットを見ることができる)

追記(2014年12月8日):
自民党政務調査会は、2014年5月23日付で「日本経済の力強く持続的な成長に向けた総合政策集 2014」という政策集を発表している。その中では、公民館における地域課題解決の取り組み支援、女性が輝く国づくり、放課後子どもプランの項目でNPOについて言及している。

日本経済の力強く持続的な成長に向けた総合政策集 2014(PDF)

●民主党

民主党 政権公約マニフェスト(PDF)
民主党政策集(PDF)

民主党のマニフェストでは、「経済」の中の「新しい公共」の項目で、NPO税制の維持・拡充、休眠預金などについての言及がある。それから、「社会保障」の中の「生活困窮者などの自立支援」の項目で、NPOという言葉が出ている。
また、民主党はマニフェストの他に、各分野の政策について掲載した民主党政策集を発表している。政策集の方ではよりくわしくNPOに関する政策について記されている。

マニフェスト

01 経済
◯新しい公共
 NPO税制の維持・拡充、休眠預金や社会的投資など金融制度面での支援により、幅広い多様な主体が参加して公益を担う「新しい公共」を進めます。

02 社会保障
◯生活困窮者などの自立支援
 経済的に困窮している人や社会的に孤立している人に対 し、求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体のさまざまな相談機能の縦割りの解消、NPO等との連携により、社会復帰、早期就労や住居確保など自立支援を充実させます。

民主党政策集

〈内閣〉
◯生命を守る防災力強化
・地域のコミュニティを活かした地域防災力の強化を進めます。民生委員の負担が大きい現状にあって、地域で災害に備えて専門的に取り組む人材を育成するとともに、消防団や自治会、町内会など様々な住民組織や住民の参加・協力を得ながら、地域における防災教育と訓練など防災への取り組みを進めます。また災害ボランティアや災害時に支援にあたる多様な団体との連携、災害ボランティアに関わる保険制度の拡充、支援物資や資金、情報の共有・連携などにおいて、きめ細かく機能的に連携した対応ができるように環境を整えます。

〈新しい公共〉
◯「新しい公共」の推進
・すべての人に居場所と出番があり、皆が人に役立つことの喜びを大切にする社会、新しいサービスが市場に興り、活発な経済活動が展開され、よい循環の中で発展する社会をつくるために、「新しい公共」をさらに積極的に進めていきます。個人やNPO・NGOなど市民団体・企業など多様な主体が一定のルールのもとで、当事者として公益に参加し、それぞれの役割と責任を担いながら協働(ネットワーク化)を進め、「支え合いと活気のある社会」に向けた当事者たちの「協働の場」を広げていきます。

・市民が公益を担う社会に向けて、引き続きNPOやNGO、地域の協同組合や自治会など多様な「新しい公共」の担い手とその活動を応援していきます。担い手と緊密に連携しながら、その経営基盤や運営力、資金力の強化、人材育成・基盤強化のための政策・予算措置、社会的事業推進のための法人・認定制度や情報公開制度の見直し、ICTなど最新の情報通信技術を活用しての公益活動や社会事業の推進、政府・自治体の意思決定プロセスへの参加の促進、大規模災害時の政府との連携構築などに取り組み、活動環境の整備を
進め、「新しい公共」をさらに広げていきます。

◯中間支援組織支援
・「新しい公共」の担い手の中核となる団体は未だに人的・財政的・組織的基盤が弱いことから、その推進が未だに十分ではありません。「新しい公共」をさらに推進するため、地域での活動や組織運営の基盤の強化に資するよう、中間支援組織などに対する国の新たな財政的な支援制度の創設の検討に取り組みます。またこれまで地域で公共を担ってきた協同組合、自治会などについて、これらの活動や組織運営の充実・強化のための施策や支援措置について検討を進めます。

◯支援措置の強化
・認定NPOや公益法人等に対する寄附税制を維持・拡充し、相続税率の軽減措置や損金算入限度額の拡充など、税制面での支援措置についてさらに検討を進めるとともに、中小企業向け信用保証の活用など金融制度面の支援により、社会的投資を充実させ、民間の資金が「新しい公共」の担い手にまわるようにしていきます。

・特定寄附信託(プランドギビング)において、現金だけでなく土地・建物も信託対象にすることについて、検討を進めます。中小企業が利用できる制度をNPO法人や地域の協同組合など「新しい公共」の担い手も利用できるよう制度改正の検討を進めます。また、市民金融(NPOバンク)が機能し、新しい公共の担い手が資金を得やすくするよう、制度改正に取り組みます。

・休眠預金は 10 年間で 6,000 億円から 9,000 億円が累積されると見込まれています。未来のための投資として、再生可能エネルギー、ベンチャー企業、地域活性化、子育てなど社会的成長分野、新しい公共の担い手を中心に、長期資金の供給が求められながら既存の金融システムや公的ファイナンスでは十分に手当てされていない分野に、休眠預金を活用するための仕組みを構築します。その際には資金運営・運用体制は民間が主体となるような制度とします。

◯官民の連携・交流
・官民連携によるふるさと投資(地域活性化小口投資)を創設し、地域のソーシャルビジネスを支援します。さらに、NPOなど新しい公共の担い手と、国・地方自治体との人的交流を拡大することにより、担い手支援を進めます。

◯民間公益活動
・民間公益活動を活性化させるため、公益認定基準の見直し、公益法人の会計基準の見直し、公益信託制度の抜本改革、誰でもアクセス可能な情報公開制度の構築などにより、民間の公益事業の自立的発展を後押しします。

〈税制〉
◯所得税
・新しい公共の担い手を支える税制をさらに拡充します。NPO等に対する支援税制(市民公益税制)について改善を図り、大学等に対する寄附金税制を充実させます。

〈厚生労働〉
◯生活保護・生活困窮者支援
・経済的に困窮している人や社会的に孤立している人に対し、生活支援を拡充するため、求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体のさまざまな相談機能の縦割りの解消、NPO等との連携により、社会復帰、早期就労や住居確保、学習支援など、自立支援を充実させます。

◯雇用
・個人の志をいかした新たな資金の流れの形成に向け、官民連携のふるさと投資(地域活性化小口融資)プラットフォームを構築し活用します。休眠預金を成長マネーの供給源とし、マイクロファイナンスとして各地の伝統産業やNPO、ソーシャルビジネスを後押ししていきます。さらにIT技術を駆使した市民参加型のオープンガバメントを推進し、自治体の具体的取り組みを支援します。

〈環境〉
◯環境教育
・環境教育は環境保全を推進するための社会的制度的基盤です。環境問題の解決のためには、「生活の質」や「人間の幸福」の意味を「環境」との関係において明らかにし、どのような行動が環境と調和しながら社会的・個人的幸福を増進させうるのかをひとりひとりが真剣に考える必要があります。そして、他者を慈しむこころ、自然に対する豊かな感受性を育むとともに、自然や環境に対する理解だけではなく、自然や社会と自分自身との関わり合いを理解し、それをより適切なものへと変革することを学ぶ機会が保障されなければなりません。地域やNGOと協力し、環境教育プログラムの開発や環境保全を推進するための社会的制度的基盤を整備すること等により、学校などでの環境教育を充実させ、環境と経済が両立する持続可能な社会を構築します。

●維新の党

維新の党 マニフェスト(PDF)

維新の党の「マニフェスト」ではNPOに対する言及はないが、競争政策の箇所に文化団体への寄附金税額控除の推進、休眠預金の活用が掲げられている。

4 「稼げる国」へ、徹底した競争政策
◯観光・文化を新しい日本の「稼ぎ頭」に
⑤文化団体への寄附金税額控除の推進、「休眠預金」(年間500億円)も一部、活用する。

●公明党

公明党 衆院選重点政策2014(PDF)

公明党の衆院選重点政策では、「魅力ある地域づくり」の箇所に「NPO等非営利法人などへの支援」の項目を掲げており、NPOやソーシャルビジネスに資金面や人材面で支援する体制の抜本的拡充や、NPOの中間支援組織の育成・能力向上、既存の支援機関によるサポート体制の構築について言及している。

重点政策1.地方創成で、力強く伸びる日本経済へ
7 魅力ある地域づくり
⑦NPO等非営利法人などへの支援
 地域の抱えるコミュニティ再生、教育や福祉などの課題解決を目的として起業・創業するNPO等非営利法人やソーシャルビジネスの活動を資金面や人材面で支援する体制を抜本的に拡充します。そのため、NPOの設立・運営を支援する中間支援組織の育成、能力向上を図るとともに、各自治体における既存の支援機関(地銀・信金・商工会・商工会議所等の認定支援機関)において専門性の高いサポートが受けられる体制を構築します。

●次世代の党

次世代の党 政策宣言(PDF)

次世代の党の政策宣言においては、NPOに関する言及はない。

●共産党

共産党 総選挙政策(PDF)
2014年総選挙各分野政策 31、NPO・NGO

共産党は、重点政策について述べた総選挙政策と、個別分野の政策について述べた総選挙各分野政策を発表している。総選挙政策ではNPOに関する言及はないが、各分野政策ではNPO・NGOが1つの分野になっていて、NPO支援政策について詳しく書かれている。

2014年 総選挙各分野政策
31、NPO・NGO

◯法人税減税財源としてNPOへの優遇税制措置を削減することに断固反対―NPO・NGOの社会的役割を積極的に評価し、自主性を尊重しつつ行政からの支援を広げます

 NPO・NGOは、国内外で、社会や地域の諸課題を解決するために、政府や自治体ではできない仕事を担っています。そして、その活動をつうじて、行政を監視したり、政府や行政が把握できない情報にもとづいて政策提言をするなど、政治を動かす上で非常に大切な役割を果たしています。

また、NPOやNGOは、「人と人との新しいつながりをつくる」「市民の自立や自主性を高める」「やりがいや能力を発揮する機会を提供する」と国民から期待されており、社会全体の発展のためにも積極的な意義をもっています。東日本大震災や福島原発事故でも、NPOやNGOは積極的な役割を発揮しました。社会に貢献したいと考えている人々は7割近くにのぼっており(内閣府世論調査)、国民のあいだでボランティアやNPO・NGOの活動に関心が高まっています。

国際的なNGOの活動にとって、人道性、中立性、公平性、公正性が活動のポイントになります。もし、自衛隊が海外派兵され現地の住民から反発をかえば、NGOの活動自体がなりたたなくなるばかりか、メンバーの命を危険にさらすことにもなりかねません。この点からも、集団的自衛権の行使容認、海外派兵は許されることではありません。

法人税減税の財源として、認定NPO法人への優遇税制の措置を削減する動きがありますが、断固反対です。

日本共産党は、NPO・NGOの社会的役割・意義を評価し、自主性を尊重しつつ行政と間で対等・平等の立場で多面的な協力関係を確立するとともに、支援を強化します。

1、資金や活動場所の確保での支援を強化します

NPOやNGOには、任意団体、NPO法人、認定NPO法人があります。その多くが、資金やスタッフの確保、組織運営、活動・交流場所などで苦労しています。

●人件費も含む事務局の経費への支援など、自由度・柔軟度の高い補助・助成を拡充します。

●NPOやNGOが使い勝手のよい小・中規模の公民館や公的施設を大量に建設し、備品もふくめて無料・低額で利用できるようにします。また、空き店舗の借り上げや空き教室の活用など、活動場所の提供を進めます。

●NGO・NPO認知度をあげるために、広報などをつかっての紹介活動を強めます。

2、NPO法人の活動をより推進するために法整備をすすめます

1998年にNPO法ができてから、4万9460のNPO法人が活動しています(9月末現在)。一方、内閣府の調査では、全体の7割以上が任意団体です。そのうち6割以上が、「法人格がないことに困っていない」と回答していますが、NPO法人にならない理由として「事務の増大」や「柔軟な活動を妨げる」などもあがっています。NPO法を整備して、法人格がとりやすい制度に改善します。

●国会の審議では、NPO法人は政治活動(政治上の施策)が可能であることがはっきりしています。法律の名称を「市民活動促進法」にし、法律の定義に「政治上の施策を推進する」ことを明記します。

●インターネットや広報でのNPO法人の情報発信をさらに進めます。NPO法人の悪用にたいしては、行政として速やかに対応します。

●NPO法人などに融資して活動を支えているNPOバンクへの支援を強めます。信用保証協会による保証を使い勝手のいいものに改善します。

3、認定NPO法人制度の大幅な改善をおこないます

NPO法人への寄付をうながす制度(認定・仮認定NPO法人制度)の適用を受けているのは、5万近いNPO法人のうちわずか1.4%の709法人にすぎません(9月末)。適用を受けやすくするための改善を行います。

●認定NPO法人の認定基準を緩和して、より簡素で明確な手続きに改善します。

●法人税減税財源にあてるため、認定NPO法人への優遇税制を措置を削減する動きがありますが、断固反対です。むしろ、NPOを発展させるために拡充する必要があります。企業などがNPO法人に寄付した場合の損金算入限度額を引き上げるなど、拡充をはかります。

●寄付制度などを改善する2011年「NPO法」改正に超党派議連の一員として努力してきました。相談体制の拡充をはかり、新しい「寄付税制」の制度や「仮認定制度」などの周知徹底を図ります。仮認定制度は、「設立5年以内での申請」を原則とするのではなく、すべてのNPO法人が行えるように改善します。

●認定NPO法人が行うバザーやチャリティー公演などでの収益は、使い道によって非課税とします。また、東日本大震災を機に新設された、救援・復興をおこなう認定NPO法人にたいする指定寄付金制度を拡充します。

●全国の自治体に寄付金の窓口をおくなど、市民からの寄付を受けやすくします。

●生活の党

生活の党 政策パンフレット(PDF)

生活の党の政策パンフレットにおいては、NPOに関する言及はない。

●社民党

社民党 衆議院選挙公約2014(PDF)

社民党の衆議院選挙公約においては、NPOに関する言及はない。

●新党改革

新党改革 2014 約束(PDF)

新党改革の2014 約束においてはNPOに関する言及はないが、住民参加による社会貢献活動としてエコキャップ運動の例が取り上げられている。

プラン7 原発のない豊かな社会へ
◯住民参加型成長モデル創造
 ベルマーク運動やエコキャップ運動等、住民参加による社会貢献型の活動を活発化させます。新党改革は、企業中心の民間活力に加え、住民やコミュニティの活力を生かします。例えばエコキャップ運動は、ペットボトルのプラスチックキャップを皆で持ち寄り、再生利用する環境配慮の取り組みです。キャップのリサイクルで得た利益で、途上国の子ども達にポリオワクチンを届けます。キャップを破砕する仕事を福祉施設の方々にお願いし、地域に仕事を作り出す「エコワーク(仮称)」の取り組みもその一部です。
 一つの活動が環境保護、教育、雇用創出、障がい者自立支援等から社会貢献につながり、優しく強い地域社会を創り出します。新党改革は、こうした住民参加モデルを支援す るとともに、一石三鳥、四鳥を産む仕組みを発案し、バージョンアップし、社会に受け入れられるよう提案していきます。