特定非営利活動法人仙台傾聴の会は、仮設住宅や災害公営住宅に住む被災者などを対象に孤立防止のための傾聴活動をしてきた団体です。これまでの活動と今後の展望について、代表理事の森山英子さんに伺いました。(取材日:2020年10月14日/聞き手:布田剛、中山透)

名称 特定非営利活動法人仙台傾聴の会
所在地 宮城県名取市大手町5-6-1 名取市市民活動支援センター内
URL http://sendai-keicho.sakura.ne.jp/wp/


仙台傾聴の会 代表理事の森山英子さん

心細いときには誰かがそばにいるだけで安心が感じられる

―仙台傾聴の会は震災より前に設立されていますが、団体の発足から震災までの経過を教えてください。

仙台傾聴の会は、震災より前の2008年4月に7名で立ち上げました。

私は福祉の勉強をするため50代になってから大学に入学しました。親を看取り、子育ても終わり、何かを学びたいという欲求があったのです。それで、ちょうど東北福祉大学の通信制が始まったので、第一期生として入学をさせていただきました。通信制としては10年間在籍できるのですが、若くはなかったので早く卒業したいと思い、4年で修了いたしました。

卒業して、みなさんの役に立てることを何かしたいと考えたとき、自死予防をメインとして、傾聴に特化した活動をしようと思ったのです。そして、太白区市民センターで開催された傾聴講座に参加した20名ぐらいの人に声がけしたところ、7名が集りました。

そして、東京でやっている傾聴ボランティアの養成講座に参加して勉強してきましたが、これは25時間という長時間の講座だったので、一般の市民の方が参加するのは難しいと感じました。そこで、独自に12時間コースをつくって気軽に参加できるようにしたところ、参加する人が増えていって、2年したら会員は7名から100名になっていました。新聞などにも取り上げられ、目新しいものだったので参加してくれたということもあると思いますが、求められていた活動だったと感じます。

―森山さんは、震災当日はどのように迎えられましたか?

ちょうど、仙台市の福祉プラザのフリースペースで打ち合わせをし、それが終わってスタッフと2人でいたところでした。揺れが収まって1階に降りたら多くの人がいて、五橋小学校の避難所に移るようにとの指示があり、食べ物が必要だと思ってコンビニでパンなどを調達しました。でも、そうしているうちに自家用車を駐車場から出せるようになったので、それで家に帰りました。そのときの印象的な光景として、二人の子どもを連れたお母さんが道路を横断する時、子どもが路上で動けなくなっているのを見ました。それほどショックが大きい体験だったのだと感じました。

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