—職員を増やすのと利用者を増やすのはどちらが先になりますか?

同時ですね。状況にもよりますが、利用者さんが増えたら今やっているNPO的なインフォーマルな活動をどんどん削っていくような形になります。そうした活動がスタッフのモチベーションになっていると思うので、それができないとなると活動の根幹を揺るがすような状況になります。

利用者さんを増やさなければいけないのは週6日稼働のうちの火曜、木曜、日曜です。なので、そこは営業していかないといけないのですけれど、その曜日だけ増えてくれるわけではありません。よってがいんに相談が来るのは他がもう無理ですと言っているケースなんです。

—そうすると、それなりに人手がかかるんですか。

いろいろな意味で難しい場合があります。制度にそもそも対応していないとか、他のデイサービスでは受け入れが難しいとか。あと、他のデイサービスだと本人の拒否がひどくて通えなかったのが、たまたまうちに紹介が来ると普通に通ってくださるということがあります。うちの職員が、その人たちが居心地いいようにその分動いているんですけれど。

—雰囲気的なところもきっとあるでしょうね。いかにも施設のようなところは嫌だという方も、ここは普通の家のような感じですし、名前の通りお茶っこに行くくらいの感覚で通っているんでしょうね。

そうですね。来てらっしゃる方の中にはデイサービスだと思ってない方もいらっしゃいます。あと、職員が本当に利用者の気持ちに寄り添ってくれるので救われている部分もあるんだと思うんです。家族と関係性が煮詰まっちゃってしまって、大変な思いをしてここに辿り着いた人たちで、職員が利用者さんに思いを寄せることができているからだと思います。

—地域の状況について伺いたいのですが、渡波の方では在宅被災者の方もけっこういらっしゃいますか?

身近にいっぱいいると思います。震災で地域の環境も変わっています。自立再建される方もいれば、新渡波で復興公営住宅がそこかしこにできてしまって、そこに新しく入ってくる方もたくさんいます。新しく入る方たちは、いろんな地域から仮設に入って残っていた方たちで、受け入れるのにも何かしら手だてが必要ですが、もともとの自治会の方たちも自分たちの生活でいっぱいです。

そういうコミュニティの課題についてはよく聞くのですが、よってがいんはどちらかというと、コミュニティがあってもコミュニティに属せないような方たちをサポートしたいという感じです。

—今後、よってがいんとしてどういうふうに活動を展開していきたいと考えていますか?

よってがいんはもともとサロン活動を行っていましたが、ある一人のおじいさんとの出会いがきっかけで介護保険事業を始めることにしました。基準該当障害福祉サービスを始めたのも、具体的な人との出会いがきっかけです。地域にどういうニーズがあるかということではなく。具体的に顔の見える関係の中でどういうケアが必要なのか、実際のケースに出合い、こうしなきゃいけないということでそれに対応したサービスを行っています。日中一時支援を始めたのも、お母さんが子どもを連れて、助けてって言ってきたからなんですね。

日中一時支援をやってみたらけっこう子どもたちが来るようになりました。そこで次は放課後等デイサービスにしてみたらどうかということを考えていたら、市の方で放課後等デイが基準該当に対応になったということでした。だから、そうして対応できる制度があれば使っていきたいと思っています。こんな感じで事業が広がっていって、ここがいっぱいになったらここと同じような小さいところをまたつくるんだと思います。そうなればいいなという希望のもとに活動しています。

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