—角田は2014年度からスタートなので、それほど期間は経っていませんが、やってみて子どもたちに変化は感じられますか?

 学校の中に中間的な居場所があって、不登校の生徒が来れる、あるいは通常の学級にいる子たちが長期の不登校になるのを予防するというのは、ものすごく有効だと感じています。不登校も半減したと聞いています。不登校になって戻ってくるよりも、ここで予防するという効果が大きいようです。一時的に教室にいるのがつらくなったときに、こちらの教室で過ごして勉強が遅れるのを予防しておいて、ある程度落ち着きを取り戻すと普通にまたもとの教室で過ごせるということもあるみたいです。

 やはり時間が解決してくれる問題というのもけっこうあるようで。なにか教室に行きづらい状況が発生したときに、時間が解決してくれる部分をどこで過ごすかとなったとき、完全に家庭だけになってしまうか、部分的に過ごせる場所を学校の中に確保できるかの違いは大きいと思います。

 今の子どもたちが不登校になるのも、教室の中が攻撃的で本当にいじめられてつらいというよりはちょっとした人間関係のもつれがきっかけになることが多いようです。ここに中間的な居場所があってなんとか留まっていられると、友達から教室に戻っておいでよという働きかけは絶えずあるみたいで、優しい子が多いんだなというのは感じますね。

—これからの活動の方向性を教えてください。

 復興財源の中で緊急スクールカウンセラー等派遣事業は地元自治体に負担を求めない仕組みの方に含まれていて、あと最長で5年間は続くと予想しているんですけれども、それが続く間は続けようと考えています。その間に山元に拠点をつくって、5年はそういった震災の復興財源に支えてもらいつつも、そこから育てるような体制づくりですね。

 今は仮設での活動は無償でやっているのですけれど、拠点をつくってそこに通うお子さんのご家庭に少しずつ負担を求めつつ、5年後くらいにはみなさんから負担を少しずついただきながらやっていければと思いますね。

—この活動の意義や価値をどのように捉えていますか?

 学校の外に子どもの居場所を設けてうまくいくケースもあると思います。フリースクールとかですね。しかし、学校の外にあることで逆に不登校が長期化してしまうこともあると思いますし、ご家庭の経済的な負担はハードになります。不登校の予防や長期化を防ぐという観点からも、学校内に中間的な居場所があるのは有効だと思います。

 あと、学校では担任の他に保健室の先生や学年主任の先生もいますし、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの先生も定期的にやってくるので、そういった先生方がかかわりやすいということがあります。

 日常の子どもの支援はこちらに任せていただければ、絶えず状況の変化もお知らせし、情報交換しながら、子どもにとっても家庭にとっても一番負担の少ない方向で支援できるしくみになればと思っています。だから15年度は助成金がなくても、自力でもなんとか続けて、活動の価値を確立させていきたいと思います。

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