—震災支援を続けてきて、のちの人に教訓として伝えたいことを教えてください。

それはいっぱいあります。何一つとして成果だと言えるものがなく全てが発展途上だと思っていますから。災害ケースマネジメントもそのひとつです。一緒に関わっている弁護士や建築士と今もずっとやっているのですが、法制度が変わらないと難しいこともあるんです。罹災証明の発行や世帯ごとの罹災判定とか。ボランティアの動きも全然改善されていないんですよね。災害ケースマネジメントが当たり前の社会になってほしいと願っています。

それから、「一人一人の復興」と市町行政は目標を立てたりしていますが、きめ細やかにはできていませんでした。実際に家を訪問してみたら、そこに多数の課題が重複していたとかよくある話です。高齢者が歩けない、認知症、孫が引きこもり、親が発達障害なんていうことは普通にありますから。世帯ごとになっているから、構成メンバーの一人一人の状況が細かく見られなかったし、子どもの意見は大事にされませんでした。

じゃあどうすればいいのかは見えてきてはいるものの、なかなか厳しいのが現状です。例えば災害が起きた直後に全戸訪問することとか、建築士や弁護士や福祉の関連の人たちがチームになって個別のひとりひとりのアセスメントができるようにするということが大事です。特定の専門職じゃないとできないと思われていますが、そうではないと思うんです。きちんと専門家に協力してもらいながら、混乱期にマンパワーを投入して住民さんを登用してアセスメントを丁寧にやっていけば、その後の長い被災生活が全く違うものになるわけです。

最初にアセスメントができていないから、「この状況で放置されていたの?」というようなことがたくさん起きているんですよ。災害ケースマネジメントも弁護士が本を出したりしているので、全国で言葉は広がっていますが、本質が何かはまだ理解されていません。言葉が広がったことは多少進歩したかなという感じですね。

平時の人材育成の部分は、震災があったからなおさら思いますが、これはちゃんと県として日頃から住民に近い立場の人が市民ソーシャルワーカー的な視点をもって、平時の日常にいるような地域にしていく基盤整備をすることが大切だと思います。各市町村それぞれでやってくださいというようなものでもないですし。宮城県で広域避難者を受け入れるとなったときのためにも県として、市民ソーシャルワーカーを継続的に育てる必要はあると思います。これは後に残したい提言のひとつです。

1 2 3 4 5