一般社団法人ReRoots(リルーツ)は、仙台市若林区で被災した農家を中心に支援活動をしている団体です。7月29日、仙台市若林区荒浜にあるReRootsのボランティアハウスで、代表の広瀬剛史さんにお話を伺いました。(聞き手:地星社 布田、藤原)
名称 | 一般社団法人ReRoots |
所在地 | 宮城県仙台市若林区荒浜字今泉59-3 |
TEL | 022-762-8211 |
URL | http://reroots.nomaki.jp |
コンセプトは、復旧から復興へ、そして地域おこしへ
—活動が始まった経緯について教えてください。
311の地震の直後、東北大学川内キャンパス近くにある川内コミュニティーセンター(以下、川コミ)に東北大学の学生や地域の住民が避難し、僕もそこに避難しました。川コミで知り合った学生と、その後一緒に仙台市のボランティアセンターに登録して津波被災地へのボランティアに行くようになりましたが、そこでいろいろな問題点や疑問点を発見するんですね。ボラセンには物資も人もお金もたくさんあるのだけれども、マッチングに時間かかるとか、融通が利かないとか、お役所体質が目につきました。
一方、民間のボランティアグループも津波被災地に入っていて、彼らは非常に即応性も高くて、気持ちも熱いんですけれどもどうしても活動が場当たり的なんですね。そういうのを見ていたときに、どういう取り組みが必要になってくるだろうということを、僕と学生たちで話し合いました。3月末くらいですね。
津波被災地でのボランティア経験をしながら他のボランティア活動や地域を見たとき、相手の目線に立って生活を取り戻すということと、地域のつながりをつくるということが大事であると考えました。そして、宮城野区の南部から若林区にかけての沿岸部はずっと農地で、農家の方は家のがれきを撤去してきれいになったとしても、仕事の場である農地は手つかず。そこに生活目線に立った農業支援が必要だということに着目しました。
支援にあたっては相手の立場に立つことを理念としました。もともと被災者というのは被災する前は自力で生活する力があったので、なんでもかんでもやってあげるのではなく、その人が持っている社会的な尊厳を引き出すことが大事です。尊厳を引き出したことによって当事者が立ち上がり、初めて協力して共同の道を歩めるということで、そういうボランティアのスタンスを取ろうとしました。
コンセプトは、「復旧から復興へ、そして地域おこしへ」とまとめています。農業の復旧支援としてがれき撤去をやったとしても、機械もないし家もないし作業場もないし、営農を本格的に再開させるのは非常に難しい。そこでがれきを撤去する復旧支援だけではなくて、営農再開を目指す復興支援のお手伝いへ。さらに、せっかく復興させても後継者や新規就農者がいないと10年たったらまた荒れてしまうということもあるので、地域おこしへとコンセプトを定めてスタートしていきました。それが4月18日のことです。
5月のゴールデンウィークには若林の農家を紹介してもらって、若林区での独自のボランティアを始めるようになります。当初は農業についてはボランティアをしてはいけないという制約もあったんですけれども、農家からのニーズもあったのでやりました。
—制約はどこが出していたのですか?
市のボランティアセンターです。市のボランティアセンターは農業支援をその頃やっていなかったんです。ゴールデンウィークがあけて僕たちが始めてから、実際のニーズもあるので夏前からやり始めましたけれども。
—なぜ農業についてのボランティアがだめだったのですか?
表向きは危険だったから。確かに危ないんです。農地のがれきは大きいですし。それから失業者対策というのがありました。でも、実際には、農政課とボラセンとの縦割り行政という問題と、農政課は業者に発注しますから工事業者と利害関係のあることの2つがメインですね。