そういうことを続け、毎日毎日配送に行っていると、行政の物資担当の方から、「町のホームページに載せられないけれど、この物資が30だけ必要なんです。」というような声も聞くようになりました。新聞やホームページに載せると、いらないくらい来ちゃう。でも避難所に入っている人の数だけ必要ということがあったからです。
その頃ちょうど、アマゾンのほしい物リスト(※2)というのがあるよというのを教えてもらったので、アマゾンにコンタクトを取って、被災地公式としてもらい、5月末くらいからブログと併用してアマゾンのほしい物リストの活用を始めました。物資を会場に配送した際に、その場でパソコンを開いて行政や避難所の物資担当者からヒアリングをし、必要な物資と数をほしい物リストに載せるという作業を行いました。
そうした活動をしてきたこともあり、物資担当者や行政の人の信頼を得ることを出来たのではと感じています。今でも、その人たちの部署が替わってからでも、会えばいろいろ話をしています。
※2…オンラインショッピングサイトのアマゾンでは、ギフト用に自分の欲しい商品を登録してほかの人に知らせる「ほしい物リスト」機能がある。
―民間だからこそ、必要とするだけの数で物資を集めたり、行政では受け付けていなかった個人からの物資を集めるなど、柔軟な対応が可能で、それを行政につなぐことができていたんですね。それが震災当初の動きですね。そこから活動はどのように広がりましたか?
行政の人と交流をするにつれ、避難所の課題や意見を聞くようになりました。避難所生活が長引き、震災から2ヶ月が経った頃、みんなストレスが溜まるから喧嘩やトラブルが多いんだよねという話を聞いて。ちょうど私もその頃友達とカラオケに行ったらすごくストレス発散になったということがあり、あ、これだと思いました(笑)。それで、避難所でストレス解消のカラオケ大会を始めました。
県内の音響会社でカラオケレンタルをしているのを見つけ、連絡をしたら、そういうことだったら1回は無償でお貸ししますということでした。そこで、最初は無償で借りて開催してみたらとても好評でした。2回目からはレンタル費用も支払って開催していました。県内の企業も同じく被災していると考えたからです。避難所でカラオケ大会をやると、普段はあまり出てこない男性も出てきてくれました。
カラオケ大会は避難所の敷地内でやっていました。共有スペースのときもあれば、野外のときもあり、毎回30人から50人の人が参加しました。歌う人もいれば、ただただ聞いている人もいました。会が終わると「次いつやるの?」と言われるくらい好評でした。山元町で月に1回か2回、計6回開催しました。
地域で何か始めたいと思っている人をサポートしていきたい
―物資の支援はどれくらい続いたのですか?
行政に対しては、2013年3月下旬に町の物資会場がなくなるまで継続しました。その後は、地域で立ち上がった有志グループや事業者を対象にした物資マッチング支援に移りました。
―復興支援をやっている事業者向けに特化しているということですか?
いえ、復興支援団体に限らず、地域の被災地した事業者さんや新たに立ち上がった団体等を応援しています。震災から一年も過ぎると、各予算やお金が減ってくるというのを目の当たりにしました。うちは欲しい物リストを活用し、活動の様子も情報公開していたので、支援物資が集まり易い強みもありましたので。