布田 まち歩きの他にはどういう活動をしていますか?
加藤 去年の11月にまち歩きをやったときに、冬はもう寒くてできないと気づいたんですね。そのときに根岸を中心に郷土料理のレシピを残していくという企画を始めて、それを「クッキングまんま」と呼んでます。まち歩きとクッキングまんまは同じ趣旨です。こちらはまちを歩いて見つけていく。こちらは実際に料理を作って見つけていく。地元学の「あるもの探し」という考え方です。
布田 宮城県だと、加美町で食の文化祭(※3)というのをやってますよね。
根岸 結城登美雄さんがやったやつじゃない?
※3…宮城県北西部にある加美町において行われている、家庭料理・郷土料理を一同に集めたイベント。仙台市在住の民俗研究家・結城登美雄氏のアドバイスを受けて始められた。なお、結城氏は前述の水俣市の吉本哲郎氏とほぼ同時期に、同様のコンセプトで地元学を提唱した人物でもある。
布田 そうそう。だから、そういうところからヒントを得たのかなと思ったのですが。
加藤 料理教室をずっとやりたいと言っていて。でも、これも地元学関係のところで、こういうレシピ本をつくっているよというのを聞いて、それを参考にして始めたんだよね。これも今だいたい月イチくらいでやってます。
根岸 地元のお母さんたちと、外から来た大学生と、あと地元の中高生もこれから入れてやりたいなと思ってます。今ではなかなか食べられなくなったようなお煮しめとか、けっこう行事や文化とかとつながってるじゃないですか。でもそういう文化とか風習も受け継がれてないところもあって、料理と合わせて古き良きそういうものも残していきたいなと。
布田 地元の人にとっては当たり前でも、外から来た人にとっては、あっ、こんなのがあるんですかというのもあるでしょうしね。
根岸 そうですね。あと、おばあちゃんたちにとっては当たり前だけど、若いお母さんたちにとってはそんなものがあったんだというのもありますよね。両方あるなと思っていて。
加藤 こうやってちゃんと形にして他の人に見せるとすごく盛り上がる。これおいしいよねとか、よく食べるよねとか、それだけでもすごく意味があることだと感じますね。唐桑には何もないよねというのがまず口癖になっちゃってるんで。そういうところをまず変えていければいいなと思ってます。
からくわ丸のメインの活動は今のところ3本。それがまち歩きとクッキングまんまと、あともうひとつがルーキーズサミットというもので、去年の9月くらいからずっとやってます。地元の20代後半くらいの人と知り合うようになって、みんなで雑談しているとたまに唐桑についての話になり、みんなすごくいい話してるのに、いつも雑談レベルでもったいないと。そこで、唐桑のまちおこしのために何ができるかを話し合うような場をつくりましょうということで、ルーキーズサミットという名前をつけて、月イチくらいで開催するようになったんです。
最初の方のサミットで、唐桑のことをPRするグッズがあるといいよねという話が出て、さっき言った唐桑のマグロ御殿をモチーフにタオルやTシャツを作って売っていくことも始まりました。
閉鎖的な部分が、地区とか地域だけじゃなくて、世代間でもある
布田 からくわ丸は任意団体ですが、会員制度や事業計画をきっちりつくるという感じではないのですね。
加藤 サークルと捉えてもらった方が近いですね。