ここに事務所があるということをまだ知らない人も多いのですけれど、だんだんわかってもらって、何かあったときにあそこに行けるんだということが、どこか片隅に残ればいいなと思っています。何かあったときの駆け込み寺みたいに思ってもらえれば。

 あと、編み物で今来ている方も、編み物のとき以外にもお茶のみで立ち寄って、自分が抱えている介護の問題などを相談されるときもあるし、本当に何もすることがないときにお茶のみにほぼ毎日来るおじいちゃんもいるし、フリースペースとして使ってもらっているので、居場所づくりというか、そういう場にもなっているということはあります。

支援者同士で情報共有をし、補い合いながら被災者をサポート

—生活不活発病や認知症のほかに、今課題になっていると感じているところや、気づいた変化はありますか。例えば、心のケアなどはどうでしょうか?

 今はお茶飲みしたり話していると、去年より今年の方が疲れたという話を聞きます。去年はもうやるしかないという感じで、みんなががんばろうね、がんばろうねってお互いに動いてきたのだけれども、今年は気持ちや生活が落ち着いてきて、そうすると自分たちのこれからの住まいのことや、これから先どうしようというところが見えてきて、何をするにもおっくうになったという声があります。生活再建を具体化させるために、早く早くとは思うけれど、一個一個手続きしていく中で、わからないことを調べるのは大変だと。

 前は物資が来てばーっと配ってとか、何かイベントをやればみんな楽しくなるというのがあったけれど、住民の間でもだんだん個別の問題がすごく大きくなってきて、経済的な問題という人もいれば、家族の問題という人もいます。震災で家族構成が変わったり、すごく狭い部屋の中で家族の物理的距離が近くなって、もともと震災前からあった問題がより表面化してきたなど、そういう震災による喪失とか悲しみだけじゃないものが出てきて、だから一個の支援ではカバーできないんですよね。

 そこの難しさや、ニーズのつかみにくさがあるので、私たちとしてもどう活動を続けていいかということがあります。個別の支援、個別の訪問活動はやっていないので、本当は気になる家の人だけでも行きたいというのはあるのですけれど、やっぱり二人でやっているというキャパの問題もあって、そこまではできていないです。個別で行けないため、細かいところを見る難しさというのはあります。

 その分、月に1回、ちょうど今日の午前中やっていたのですが、支援者ミーティングといって、行政の担当課や支援団体の集まりがあります。気仙沼の中でも階上は最初に支援者ミーティングをやり始めたのですけれども、KRAさんや、あとはサポートセンターが個別で訪問している支援員さん、心のケアセンター、市役所の地域包括支援センター、健康増進課の保健師さんたちが集まって、各仮設についてのお互いの活動などの情報交換と、個別のケースについてみんなでどうするかということで情報を共有します。

 そこで個別で訪問している方から情報を聞くと、私たちも体操のときなどにまた違う角度から見ていけるので、私たちができないところを他の団体と補い合いながらできればと思っています。一つの団体だけで問題を抱えこんだりせず、みんなで、任せられるところは任せて、自分たちが見れる部分は見て、そこの部分は情報を返すとか、そうやっていけば互いに見つけづらい部分もわかるし、見えてくるものが違ってくるのかなと思います。

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