もちろん初めはトップ層をがんと走らせるというのもあるかもしれないけど、同時に全体的な底上げのためには、もう少し地域間の連携だったり、事例や学びを共有するということを小さなレベルで行うのが、今の時期だからこそ必要なんじゃないかなと思います。特に福祉分野はそうです。仮設支援員のあり方も地域によって全く違います。本当によかったのは何だったかを検証する必要があるし、これから復興公営住宅になったときにみんな同じ課題で同じこと考えているけれど、相変わらずうまいことがないという。阪神も中越も豊富な事例があるのに、変わらず同じ課題の話をしています。だから、もっと知見を取りまとめて、行政や社会に対しても、訴えるときにちゃんと訴えておかないと、触れられない問題になってしまいます。

 それぞれの支援団体が助成金を取って、小さなシンポジウムをして、小さな冊子を作り、講師を呼び、視察し、みたいなことでは本質的な課題解決にはつながりません。助成金が取れた取れなかったみたいなことで他と競い合うのではなく、公共的なことを考えた動きをまとまってつくっていく必要があると思います。

—セクター全体だったり、地域でまとまってやるなり、成果を見せるということをしていかないとだめですよね。

 それを、私たちも自戒を込めて、考えたいなと。自団体で寄付を集める動きと同時に公のことを進めるというのは大変です。でもどういう機関があるといいのかなと。復興庁はその役割をするところではないですし。

—そうした全体での視点もありますが、財団としては今後の支援活動においてどういうことに重点を置いていきますか?

 その土地の人たちの主体性が継続的に発揮できるような体制づくりをしていきたいと思います。地域で持続していけるような事業を作ることです。だから立ち上がりを重視しています。そのあとどう持続できるかということを見据えて、いくつかのところは事業化する。事業が自助的にまわるようになれば、そこにべったりとはくっつかずに、すこし離れたところで見守る。

—ある程度事業の中でまわって、そこで利益もあげて、運営していけるようになればということですね。

 そのあとはちょっと遠目にいます。亘理での農業支援の例で言うと、トマトを買い続けることと夏のボランティアのアレンジをする。100パーセントの関わりから徐々に様子をみながら減らしていくことです。必要とされるときはそのところどころで力を入れます。それがたくさんできれば、ずっとハンズオンじゃなくてできるかなと思います。だから、できるところはけっこう少ないけれど、地味にそのへんはやり続けていきます。

—財団自体としての課題はどういうところだと考えていますか?

 ここの課題は、お金です(笑)。今のは半分冗談ですが、寄付を集めるということだけでなく、もうちょっと使える資源はいっぱいあるんじゃないかと考えています。うちの財団で言えば、母体団体としてホームレス支援ネットワークだったり、生協があるんだから、人材や知財がいっぱいあるわけで、そういうのをもっとつなぎ合わせてもいいかなという気はしてますね。

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