—2011年12月には、一般社団法人に法人化しましたね。

 法人化は文科省の緊急スクールカウンセラー等派遣事業を受けるためでした。仮設での活動はどうしても仮設に入っている子たちしか対象にならないということがありましたが、知り合いのところに身を寄せていたり、みなし仮設に入っている子を支援する場所も必要でした。中学校の先生と相談して、冬期講習と受験まで放課後の学習支援をやりましょうということになり、緊急スクールカウンセラー等派遣事業に申請しました。

—これは角田もですか?

 山元だけです。2012年度は仮設住宅の活動に関してはトヨタ財団の助成を財源にして運営していました。中学校の中に入っての学習支援活動は緊急スクールカウンセラー等派遣事業で行いました。2013年度からは、山元町内で行う活動に関してはすべて文科省からの財源で行うことができました。あとは全日本社会貢献団体機構から助成を受け、車両の維持管理や教材費に使うことができました。2014年度から角田の事業も始まりました。

—山元でずっと震災の支援をされていて、その間も角田の教室は普通に塾としてやっていたわけですよね。それとは別に角田でも活動を始めるようになったいきさつはどんな感じだったのですか?

 実は角田中の校長先生とは前から知り合いで、細川くん、木田くんの小学校の先生でもあるんですね。それで、校長先生に角田中の状況を聞きに行こうということで行ったところ、学習支援も必要だけれど、不登校が多くてその対応で職員が疲弊しているという話を聞きました。それが14年の1月で、文科省に緊急スクールカウンセラー派遣事業の申請をしたら通ったので、4月から支援を始めることになりました。

—沿岸部の山元と比較して、角田ではどのような課題がありましたか?

 沿岸部では、例えば、住宅を失ったり、家族を失ったり、そういう子が中心でした。角田では、福島から原発災害で避難してきた家庭や、沿岸部からの避難の家庭もけっこうあります。しかし、そういう子はわりとしっかりしていて、勉強や部活もがんばっているということでした。不登校になっている子どもの家庭は、何らかの困難・困窮を抱えている場合が多いというお話でした。

 震災との関わりはわからないのですが、無関係ではないと考えています。23年度から不登校の出現率が急増してるんですね。家庭の養育力が脆弱化しているところに震災があり、そういったものが重なってますます家庭が疲弊して、それが子どもたちの不登校に結びついているという流れなのかと思います。

 2012年に中学校の先生に聞いた話では、阪神大震災のあと少し時間が経ってから、震災の影響が大きかった地域からやや離れたところの中学校で不登校が増加したり、問題行動が激化したそうです。先生からお話を聞いたその時期、宮城県内の内陸部のある中学校が荒れていると話題になっていたんですね。それというのもその学校は勉強ができる子どもたちが多い中学校として有名で、その学校で問題が起きているというのは教育関係者には意外だったんです。だからそのような話を聞いて、直接大きな被害を受けた地域の周辺部で、何か子どもに影響が出るというのはこれから起こってくることだと思いました。

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