スタッフとしては、支援の現場に直接関わってきたことから、自分の進む道を見つけた子が多いのかなと思います。実際、学習支援の現場を自ら体験したうえで学校教育に進む子も多いんです。ただ、私たちがやってきた学習支援は単なる「学習の支援」ではありません。「学習を媒介にした子どもたちの支援」なのです。そういう感覚はスタッフのみんなが持っています。ですから、現場での活動経験がある彼らの経験値は、かなり高いものがあると思っています。また最近は県内の行政職に進む子も多いです。

―これまでの支援活動を通して教訓として後の人に伝えたいことや、まなびの森としての今後の展望について教えてください。

言葉にできないニーズがあるということを知ってほしいです。被災を体験したけれど、それを言葉にできない子どもたちがいる。その子たちに手を差し伸べてほしいということです。そのためには時間をかけないといけません。震災の混乱期から落ち着いた後の2年から3年になって初めて、本当に必要になってくる活動なんだと思うんです。震災直後はみんなボランティアへと気持ちが高まりますが、その後が大事なんです。

災害が起き、何が必要かというニーズ調査をしたら、そこに時間軸を付けるんです。1年後、2年後はこういうものが必要になってくると。例えば、それぞれの家庭も疲れてくるだろうし、仮設住宅に移れば支援のかたちも変わってくると思いますし。長い活動を見越したスキームづくりが必要だと思います。

今後のことについては迷っています。本業の学習塾に重点を置こうとは思っていますが、現実はそうはいかないと思っています。地域から支援を求められたり、お声が掛かったときには、できる限り現場に向かいたいと思うでしょうし。私たちには学校外での居場所づくり、学校内での支援、様々な子どもたちとの関わり方など豊富な経験があります。それを活かす場が、この先あればいいとはもちろん思いませんが、万一また災害が起きてしまったときには、すぐ動けるような団体でありたいですね。

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