一般社団法人チャンス・フォー・チルドレンは、東日本大震災で被災した子どもたちに学校外教育で利用できるバウチャーを提供する活動を行っています。6月13日、代表理事の雑賀雄太さんにお話を伺いました。(聞き手:地星社 布田、藤原)
名称 | 一般社団法人チャンス・フォー・チルドレン |
所在地 | 宮城県仙台市青葉区本町1丁目13-32 オーロラビル1106(仙台事務局) |
TEL | 022-265-3461 |
URL | http://www.cfc.or.jp |
教育の格差はどこで生まれるのか。家庭の所得の状況によって学校外での教育機会に格差があると考え、学校外教育バウチャー制度をつくるところから始めた
—団体の始まった経緯について教えていただけますか?
チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)はNPO法人ブレーンヒューマニティー(以下、BH)の中のひとつのプロジェクトとして始まりました。BHは阪神淡路大震災を契機に、被災児童生徒の支援をすることから始まった団体です。
BHは、最初は避難所に入って無償での学習支援から活動が始まりました。しかし、活動を継続していく上で、基本的にサービス費用をいただいて、学習指導をしたり、ワークキャンプ等を実施して参りました。これらの事業を15年続けてきたところで、対価を支払って参加できない子どもたちにアプローチできていないという反省があり、そういう子どもたちへの支援をしようということで始まったのがチャンス・フォー・チルドレンプロジェクトでした。
それは、生活保護の家庭の小学生から高校生までのお子さんを対象にしたもので、仕組みとしては今やっているものと同じものです。塾や習い事で使えるクーポンを提供して、子どもたちの教育を保障しようというところから始まりました。資金は、当初は自分たち学生が街頭に立って街頭募金で集めました。初年度に約120万円を集めて、2人の高校三年生へのバウチャー提供ができました。2人とも母子家庭だったと思います。大学進学を考えていたけれども、大学受験にお金をかけられないということで、塾に行くのに利用されていました。
教育の格差はどこで生まれるのか。家庭の所得の状況によって学校外での教育機会に格差があると考え、学校外教育バウチャー制度をつくるところから始めました。学校外教育バウチャーのしくみは他になかったので、BHでやっていたのが日本初になります。
—震災前からそういう活動を始めていたわけですが、震災後に被災地での活動が始まった経緯を教えてください。
震災が起きたときに、家を流されたり、親が職を失ったりすることで、突然の貧困状態に陥る家庭がたくさん生まれます。そのとき、学校に関しては国の支援がすぐに入りますけれども、学校外のところに関しては国による支援はなかなかありません。阪神淡路の体験も踏まえてそうした事態が予測できましたので、それを防ぐものとしてバウチャーというしくみは非常に有効ではないかと思い、こちらに来て事業を開始することにしました。
つなプロ(※)で5月まで活動し、6月にCFCでの活動を開始しました。CFCは6月20日に一般社団法人として設立されました。NPO法人だと認証までに時間がかかるのと、社団の場合は公益認定もあるので、法人格としては一般社団法人を選びました。
※つなプロ…「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」の略称。被災地と関東、関西のNPOが連携し、災害弱者のニーズを見つけて専門性を持つNPOとつなぐ活動を震災直後から行っていた。