その他、不登校の支援の中では、学習支援でのサポートも行なっています。思春期の子どものこころの病いの発症時期には、例えば認知機能が一気に落ちることもあるんですね。すごく成績がよかったのに、突然悪くなって、親から叱責を受けたり、学校に行けなくなって、自信をなくすということもあります。突然起こるので、本人もすごく苦悩するんですね。今まで褒められてきたのに、突然できなくなる。どん底に落とされるような感じで、なかなかそこから這い上がることが難しいこともあります。

 また、こころの病いの方、不登校の子どもたちを支えるのに、漁業と農業を含む第一次産業を中心にインターンシップを取り組んでいく予定です。やっぱり農業と漁業には、こころの健康につながる要素がいっぱいあるんですね。自然にふれあうことで、自分の達成感を得ることができます。魚が釣れるとか。野菜の成長の過程を見ていくと、自分がこれをやったという自分の承認欲求を満たすことができます。よく、うつ病の患者さんリハビリテーションで農業を取り組んでもらっているところがありますよね。

 あともう一つは、若い方々が石巻の第一次産業を見直して、地元に残って、そういったところの産業にかかわっていこうとなるとといいかなと思っています。地元には、多くの魅力ある水産加工会社がありますので。

—第一次産業は後継者不足が深刻ですから、若い人たちがそうやって来てくれるのは喜ばれるのではないでしょうか?

 いま農業や漁業者は、高齢化している状況ですが、この地域の子どもたちは、三世代で暮らしていたご家庭が多いから、子どもたちもおじいちゃんおばあちゃんのお世話をするのが上手で、抵抗がないんですよね。そこで、農業や漁業とか、あとは介護施設に実習に行かせてもらうんですけど、とてもお世話が上手なんです。高齢者や年配の方も、若い子たちに一生懸命教えたりとかしようとするし、あの子たちから元気をもらうとみんな言うので、とても相乗効果があるんですね。

 心の健康は双方につながるので、若者と高齢者のどちらにも課題が残っているところに、一緒に取り組むものができると、そこでお互いの力を発揮して、相乗効果が得られるのではないかと思います。現在、スタッフが、地域のインターン受入れ企業さまを訪問しております。

—石巻ノートのスタッフ体制はどうなっていますか。今、高橋さんは仙台ではなく、ほぼこちらなのですか?

 こちちです。9月からETICの右腕の方が1人いらっしゃっています。あともう1人、心理士の女性のスタッフが入って、3人体制です。あともう1人理事のスタッフが適宜来てくれて、大学生のインターンが2人いるという体制です。その他はパソコンや学習支援の講師が3人、ポイント的に入って支援してくださっています。

—利用者の人数はどれくらいなのですか?

 7月から始めて、今支援しているのが6人です。そのうち1人は、就職が決まって現在、水産加工会社に働いております。

 非常にいい人事の方で、どんなに立派な履歴書を書いてきても、ここで働き抜いてくれなかったら、意味がなくて、こんな履歴書なんか飾りだよと。履歴書に卒業後の履歴が書けなくたって、全然気にする必要はないし、もっと自信を持っていいですよって。それはあなたがここで一生懸命働いてくれるというその気持ちが履歴書の代わりのようなものだから、全然気にする必要はないって。それで、がんばれますかって訊かれて、がんばりますって言ったら、加工場とか職域のところでうまくいかない場所があったら、庶務とか経理とか働く場所は会社の中にいっぱいあるから、そこは少しでも検討してあげたいのでとおっしゃってくれました。

 雇用につながって、本人もすごく喜んでいました。そこの会社さんも若い男性に来てほしいということもあったし、アットホームな感じで、育てるという気持ちで、面倒を見てくれるようだったので、マッチングできてよかったと思っています。ひとつひとつ、このようにつなげていきたいです。

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