南三陸町に拠点を創る一番大きな理由は、この活動はこの町になかった活動で、スタッフのスキルも上がってきたし、子どもとの信頼関係も出てきたので、続ける責任があるということです。今は寄付で事業をやっているのですが、そのお金はいつか切れてしまうから、続けるためには寄付に頼らない事業をしなくてはいけません。それには国の障害福祉サービスの制度に乗るのが継続のための絶対条件ですので、拠点が必要なんです。

 ただ、施設ができて、事業が制度に乗ったとしても、子どもの数がどんどん減っているということがあります。障がい児ももちろん同じで、子どもがいなくなったら事業が続きませんが、けっこうシビアな予測が出ているんですね。事業の運営の継続という面と、地域の福祉環境の充実ということからも、成人のケアも考えていきたいと思っています。

 南三陸町には障がい者施設が、生活介護の施設と、もう一つは地域活動支援センターと2つあります。でも、私たちが今かかわっている女性のように、どちらにもマッチしない人がけっこういるんですね。そういう人は結局在宅になっています。児童のときの状況を知った上でマッチングさせれば、合わないから辞めるというのはすごく減ると思うんですよね。そういうことがないように、将来の自立のための児童デイサービスをやっていきたいと思っています。

働くにしても何にしても、自分でやりたいと思わないと続かないから、それを育てるような福祉をする

—福祉と教育で違うとおっしゃっていましたが、どのへんが違いますか?

 学校は、生徒が学校を出たらとりあえずひと段落みたいな感覚がどうしてもあります。次からどんどん入ってきますから。もちろんその子の成長を考えますけれども。

 福祉は否応なく一生を見るんですね。たぶんそこが一番の根本的な違いなのかなと、私は思っています。福祉の中でも、教育的な福祉と、福祉的な福祉というのがあると考えています。便宜上私が教育的な福祉と言っているのは、例えば、子どもたちがはさみを使えるようになるとか、紙を折るとか、そういう技術力がアップするのを目指すものです。それは仕事につながるし、自分のスキルアップになるので、もちろん福祉なのですけれど。

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