全体的な底上げのためには、地域間の連携や、いい事例を共有するということが必要
—個別のハンズオン支援が中心だと思いますが、そうした支援での課題はどのようなところでしょうか?
うちとしては、関わったところに関しては、ずっと担当が張り付いてやるので、それでいい部分はあるけれども、そうすると他の地域は関われないわけですよ。宮城県も142の浜があるのに、やっているのは2しかないですから点での支援です。じゃあ、次の浜に行けるかというと、こんな形のお手伝いをしているから、なかなかできないというのが正直なところですよね。
私が特に課題だと思っているのはそのあたりです。各団体が、点に対してここをやってますと旗を揚げることはできます。みんなしてますよね、ここの仮設はおれらが取ったみたいな感じで。しかし、面として見る人が全然いないというのは、大きな課題だと思います。
ややもすると、小粒な団体やプロジェクトがそれぞれ動いていって、結果的には資源を食いつぶしているんじゃないかということは常に感じるところですね。特に東北に来ている支援団体の人たちって、個性の強い人たちが多いので、手をうまくつなげられない。それはわかってるのだけど、10年先を考えるとどうなのだろう?今は過渡期といわれています。過渡期って言いながら、もう資金難のところも出てきてます。それがますます増えてきたときに、小粒なものばっかりというのはあまりにも悲しい。もっとつながり方だったり、ベストプラクティスみたいなものを共有しないと、プレーヤーがいなくなった瞬間に漏れ落ちるところは多いだろうなと。
しかしその一方で、うちはうちでファンドレイジングしないといけないというのはあって、みんなとやりますよといったら焦点がぼやっとするので、ここをやってますというフォーカスするところと、組んでやるところと両方やらなきゃいけないなというのはありますね。
—財団が取り組んでいるプロジェクトと個々の課題もありますが、もう少し大きな視点でのつなげる役割のところの課題が大きいというか、そこの機能が足りないということでしょうか?
外部支援の最終的な落としどころは、ハブのセンターがいかに機能し続けるかというところだと思います。ハリケーンカトリーナのときのハブセンターの話を聞いたときにすごくおもしろいなと思いました。災害前からこの町は過疎化しているから楽しいことやろうぜと、パブで飲んでいた仲間で、災害の後に弁護士から何からどんどん集まっていって、みんなそこを通過して起業して、ニューオーリンズが起業家の町になったのも、それがあったからだと。
それぞれが個別でやっていても、課題の深さと範囲が大きすぎるから、微妙にすり減っていく感じがあります。マスコミに取り上げられました、どこどこの会社から寄付をいただきましたと、それぞれのプレイヤーがやることは必要です。しかし、一部のできる人たちはいいのですが、そうではない、小さなプレイヤー達が狭い地域を担っています。