—活動はどういうところからスタートしたのですか?

 バウチャーを提供する基盤をつくることをひたすらやっていました。初めての提供は11年の12月ですけれども、それまでは制度設計と告知・募集・選考といった業務をしていました。現場に行っている団体が多い中、事務所にこもって事務作業をするという生活をしていました。

 2011年4月で高校三年生、中学三年生になった子どもたちは学校が再開するのも時間がかかって、かつ塾に行くような余裕もないですし、その人たちにバウチャーを提供したいという気持ちが強かったです。バウチャーの提供が開始されるのは、なんとか12月が最速かと思って、そこに間に合うようにやりました。

 子どもたちからの応募は全国で被災された方とし、岩手、宮城、福島の三県が多かったのですけれど、それ以外にも千葉や兵庫など他地域に避難されている方もバウチャーを受けています。

—バウチャーの利用先はどうやって探したのでしょうか?

 登録制になっていて、事業者の方に申し込みいただいて、それを審査して登録という形になっています。12月の最初のバウチャー提供のところで、できるだけ利用先の数を増やそうということで大手の学校外教育機関をある程度の数を確保しました。

 また、しくみとしてリクエスト制度というものがあります。登録されていないところを利用したい場合は、こちらの事務局に申請していただいて、そこを追加するようになっています。利用者の教育ニーズにこたえて登録するというしくみでやってきました。

—リクエスト制ということは、リクエストがあってから事務局の方から事業者にお願いする形だと思いますが、そういう場合、理解していただいて登録してもらえることが多いですか?

 割合からすると6割、7割は登録していただいていると思いますが、まったく話を聞いてもらえないケースも中にはあります。複数教室を展開されている事業者さんですと、全体での決裁がいるから難しいという場合もあります。しかし、利用先が一定数になってきて有名な企業さんが入ってくる中で、ある程度安心して登録していただけていると、だんだん感じるようになってきました。

福島では仮設住宅でポスティングも

—バウチャーの最初の提供の時、応募はどれくらいでしたか? また、どういった観点から審査を行いましたか?

 最初の提供のときの応募は約1700件でした。これに対して150人に提供できました。一年目に関しては、失業と被災度合、学校種別・学年、学校外教育サービスの受講歴です。それぞれの項目を点数化して、総合得点の高い方から採用させていただきました。

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