バウチャーの情報を得て申請してくる人というのは、地力がある方。そうでないところに貧困の連鎖があり、大きな問題がある

—CFCのこれまでの活動の中でどういう成果があったと考えていますか?

 初年度に関しては特に、勉強が遅れていたのを取り戻せたという声が多かったです。あと、なかなか塾に行かせられない状況でしたけれど、一年間通して行くことができたという話もあります。なかった機会が満たされた、失われたものが補完されたという話が非常に多いです。

 子どもたちの声としては、ブラザーシスター制度に関しては、中高生、特に高校生はこれまで大学生と話す機会がなくて、大学に関心を持ったということがあります。大学がどのようなところかわからなかったところで、そういうところなのかと考えるきっかけになる。大学生と接することでの価値観の広がりもブラザーシスターの制度の大きな役割です。

 それから、大学生自体の成長というのも感じます。それはひとつ狙いとしてもあるのですけれど、震災復興のことにかかわっているということがたとえ月一度でも、何か考えるきっかけになっています。また子どもと将来の夢とかキャリアの話をするんですね。大学生はそれがもっと直前にせまっていて、自分はどうなんだという問いかけにもなっていますし、そこはけっこう重要かと思っています。

—今後、CFCで力を入れたいところはどういうところですか?

 被災地の教育ということで、継続していくのが大事ですが、資金をどうしていくかというのが重点課題です。大口の寄付は確実に減ります。市民の方からの寄付をどれだけ安定的に集めて、基盤をつくっていくかというところが非常に重要だと考えています。また、今は寄付金でやっているところですけれど、最終的には政策として公的な資金でのバウチャーに持っていきたいということはあります。

 あと、これは私たちが立ち入るべきことかどうかということはありますが、バウチャーの情報を得て申請してくる人というのは、地力がある方なんですね。そうではないところに貧困の連鎖があり、大きな問題があると思うんですね。階層の固定化だと思うんですけど。そこにどうアプローチするか。これはバウチャーでアプローチするのかそれとも別なアタッチメントがあって、そこから上がってきたところにバウチャーをつなげるのか様々な方法が考えられると思います。しかし、最終的にはそこにアプローチするのが、本当に貧困を解決する、固定化をなくすという点においては、一番の課題だと思います。

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