今、宮城県内には、県のかかわりのあるところだと35ヶ所日本語教室があります。ところが置いてない市町村があるんですよ。それから外国人コミュニティが集まっている地域というのがあるのですね。鮎川は韓国人コミュニティだけでも10人を超えるそうです。インドネシアの実習生もいるそうです。だから、9月から移動教室を開講しようということに決めました。

 外国人の方たちは日本語を勉強しなくてはと思っているんですよ。しかし通う手段として車を持っていないケースが多いんです。必ずしもだんなさんや家族の協力が得られるとも限りません。そうであればその場所に出かけていこうと、僕らの日本語教室の発展系としてやることに決めました。

 僕たちが日本語教室を始めたら外国人ががんばって来てくれるようになったんです。そうすると多国籍になり、その数を合わせたらかかわりのある外国人が石巻だけで3桁になっちゃった。こうなったら腹を決めてやっていこうと。外国人の方たちにも暮らしやすい地域社会をつくるのが一番目指しているところですから。

—石巻や南三陸以外の地域にも活動は広がっていますか?

 今年になってから気仙沼市でも同じようにアンケート調査をやって、回答率は35パーセントくらいでした。住所と連絡先を書いてくれたのが多かったのですが、なかなか時間が取れなくて会えなくて、9割くらいが済んであと何件か残っているくらいです。

 これも僕らでは解決できないような課題がいろいろありました。だんなさんが漁業者で、船はなんとかなったけれど、漁具がない。行政がなんとかすることもない。だからだんなさんは仮設に引きこもりがちで、仕事もしていない。その中で中国人やフィリピン人のお母さんがパートだけど勤めて生計を維持しているというケースがあったんですね。なんとかしたいと思うけれど、今の僕らの活動の規模ではなかなか追いつかない。

本当に一番やりたいのは細やかに事業を継続すること。しかし、継続事業には助成機関からのお金は出にくい

—組織運営についてはどのような課題がありますか?

(長野さんが外出先から事務所に戻り、インタビューに加わる)

千葉:情報発信のことですね。おかげさまで僕らの活動の認知度は高まったと思うんです。僕らは今まで情報発信がうまくできていなくて、外に向かってメディアなどで発信する機会をもらえたのがすごくよかった。とにかくやっていることを発信しようと。

長野:われわれが取り組んでいる問題は全部個人情報に関係してくるんですよ。どこの場所でどのように表現したらいいかというのはとても難しいです。だから慎重にならざるを得ないので、情報をどうやって隠そうかというのをいつも考えていました。どうやって他の人に知られないようにして支援をしていくか。だけど、NPOとしては活動について発信していかなければなりません。

千葉:これからきちんと情報発信をしていきたい。その中で組織の基盤強化をしたいですね。そうじゃないと、このままでは持ちません。いろいろなところでご理解いただいてきているので、いくつかの助成金を受けることができました。今もいろいろな助成機関や行政のプログラムにチャレンジしています。その中で情報を発信していかないとだめなんだろうと考えています。

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