就職にはまずお子さんを保育園に入れなくてはいけないですよねというところを確認して、仙台市の空いている保育園の情報を提供して、申請書を書くお手伝いをしました。その結果、無事お子さんが保育園に入れました。就職するのは、お子さんに何かあったらすぐ対応できるように、できるだけ家の近くにしたいということでしたので、店頭張り出しの求人をかき集めて情報提供して、最終的にパートのお仕事に就くことができました。母子世帯なので児童手当と児童扶養手当を組み合わせて、なんとか生活していけるかなという状況ですね。

 岩手の大槌から来た方は、仙台の地下鉄やバスの乗り方がわからない。自転車で行ける範囲のところだけで仕事を探していて、ハローワークにも行ったことがないということで、まず一緒に出かけて、地下鉄の乗り方やハローワークの使い方を確認しましょうというところから支援を始めました。

 就労したい、それで生活をしたいという方でも、いろいろなレベルの方がいて、いろいろな課題を抱えているので、ひとりひとりに応じて課題を整理し、課題に合わせた支援をしていくということをやっていました。

—ハローワークじゃ地下鉄の乗り方を教えてくれませんしね。でも、最初の小さな躓きをまずクリアするというのが大事ですよね。

 情報量はハローワークが圧倒的なので、職業紹介についてはハローワーク以上のことを民間ではできないと思っています。それを代替するというより、公的なハローワークという制度をしっかり活用できるような、ニーズに応じて必要なメニューを案内できるような相談機関があることが大事です。

 それから、就職活動って大変ですよね。落とされると人格が否定されたような感覚になります。何十社も落とされると、精神的にもすごくきつくなってくると思うんです。そういうのを支えてあげる存在が必要で、そういう部分も担いながら、一緒に就労に向けてやっていきましょうということを中心にしています。

—就労相談にいらっしゃる方で、精神疾患の割合はどのくらいあるのでしょうか?

 けっこう多いですね。3割くらいの方はそういう問題を抱えています。うつとかもいれると4割くらいかな。半分弱くらいの方がなんらかの問題を抱えている感じはします。精神疾患と重なるのですが、4割くらいは疾病を抱えている方なんですよ。中には、どうしたって就職できないじゃないですかという方も相談にいらっしゃいます。

 仕事する以外に生活を保障してくれる制度がまったくないということなんです。本来であれば病気で失業しているならその間の傷病手当や、失業補償があってしかるべきです。障害があって働けないのであれば、障害年金のような所得補償が必要です。それで一定の生活ができるようにしないとどうしようもないと思います。それが非常に不十分か、不在の状態なので、どうしても就労というところに求めざるを得ない人たちが非常に多いです。このことの意味をしっかり考えないといけません。

 僕らとしては失業しても生活できるように、いろいろな制度を活用して、あくまでも本人の意思が重要なので、どうしても就労したいというのであれば就労のサポートをするのですけれど、どうやったら生活を成り立たせていけるのかという観点でサポートしていかなければならないと考えています。そのへんは本当に難しさを感じています。

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