−学校に入ることで、先生方に変化を与えるというようなことはありましたか。学校の方は先生方が主導なんでしょうか?

 先生方が主導ですね。やっぱり学校の先生方は大変なんだなあと(笑)。他の生徒がいる手前、怒らなくてはいけないということがけっこういろいろな場面で多いんだなと思いました。立場上怒らざるを得ないことがあるんだなあと。

 逆にうちのスタッフ側に、学校現場に入ることで変化が起きています。今までは自分たちが学校外でやっていることで、生徒の反応もいいですから、学校がちゃんとこういうことをやってくれたらいいのにと、学校批判を言うようなスタッフもいたのですけれども、学校の現場でそういうのをやると、学校の先生は先生でかなりがんばっていらっしゃるけれど、立場上できないことがあるんだなあと、スタッフ側が気づくということがありました。学校の役割とか学校外の役割とか、改めて深く考えるようになったのは大きな変化だと思います。先生方の変化というのは、正直なところわからないです。

心の傷を持っている子には心の傷を持った学生がすっと寄り添うみたいなことがある

−子どもたちを見ている中で、子どもや、子どもを取り巻く環境について、ここが課題だということや、これから課題になってくると考えていることはありますか?

 今一番痛感しているのは、家庭に入ることはできないので、そこの壁を越えたいということです。子どもからの相談ですごく多いんですよね。親同士の仲が悪くて喧嘩をしていると。いわゆるDVとか、ネグレクトとかと言われるようなケースがやっぱり増えてきていて、もう少し言うと、お母さん方がかなり悩んでいるというのをすごく感じています。

 原因はいろいろあるのですけれど、最近すごく聞くのは、姑さんと一緒に仮設に住んでいることがやっぱり大変だということがあるようです。うちは子どものための場所なんですけれど、少しここにいさせてくれませんかと言われることがけっこうあります。学習支援をやっているそばでママ会が始まったりしていて、それはそれで大事なのかと思ったりもしています。

 広い家だったから成り立っていた関係が、狭くなって問題化していることがあります。そこで保護者の抱えるストレスが子どもに影響しているというのはすごく感じますね。親同士の仲が悪いのを、子どもが調整役になるというのはよくあるじゃないですか。この1学期だけでも、すごい波で変化していく子どもがいました。最初は中立を保っていたのですけれども、途中からはストレスが爆発したのかすごくわがままが噴出するようになって、最近また落ち着いてきて。保護者に聞いてみると、家庭の状況と波が一致しているということがありました。

−それに対し、TEDICとして何かやっていくことは考えていますか。

 実際、考えています。ただ、うちだけではいろいろ難しいところがあります。お母さんたち同士がママカフェみたいなことをやるのは、先行事例もたくさんあるので、そういうところと一緒にできたらというのはあります。

 また、本当に家庭が大変で、家にいれない子どもたち向けに、とりあえずは一緒に夕ご飯を食べようと。夕ご飯を一緒に囲んで、それは今後、ナイトステイみたいな感じで発展していってもいいかなと思っています。これも先行事例はたくさんあるので、やろうかと。しかし、それをボランティアだけでやるのはどう考えても危険なので、ソーシャルワーカーやカウンセラー、医療機関を含めてやっていきましょうという話をしているところですね。

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