ナイトステイは難しいところです。どこまでその子の意思を尊重した方がいいのか、切り離したらいいものか、そのへんのジャッジが難しいですね。家庭の問題にどこまで踏み込むのかという話なので、児童相談所なども含めていろいろやっていかなければと思っています。

ナイトステイをやろうと思った理由には、若干僕の大学での仕事も絡んでいます。TEDICのメンバーの多くは専修大生ですけれど、専修大学にもやはり課題を抱えている学生がいます。いじめられ経験や不登校経験、ひきこもり経験を持つ学生もいますし、発達障害の学生もいます。しかし、ひとりぼっちでいたり、自分の居場所がなかった学生が、TEDICの活動に参加する中で、自分の存在意義を感じられるようになって、ぜんぜん別人のように変わっていくことがありました。

 夕食を一緒に食べようというナイトステイも、子どもたちの支援にもなるんですけれども、専修大生を巻き込んでいけたらいいなと思っていています。子どもたちと一緒にご飯を食べることで、大学生の孤食防止にもなるし、ここで新しい仲間ができるかもしれません。ご飯食べるボランティアみたいな。誰かとご飯を食べるだけでも人の役に立っているとか。必要としてもらえているとか。そういう意味ではいいモデルになるのではないかと考えています。

−そういう学生が子どもたちの支援にかかわることで、自分に役割ができるということも大事ですよね。

 あと、センサーが反応するらしいです。不登校センサーとか、引きこもりセンサーとか、心の傷センサーとかみたいなものが反応するらしくて、心の傷を持っている子には心の傷を持った学生がすっと寄り添うみたいなことがあります。今大変な状況で、いろいろな闇を抱えている子どもたちが多い場所に、闇を抱えた学生が多いというのはある意味リソースは豊富なので、それをうまく活かせるといいなと思っています。

−それでは最後にお伺いしたいのですが、TEDICの団体としての課題はどのようなものがありますか?

 学習支援をやる上で、石巻には高校生を教えられる人材がなかなかいないんですね。高校生に学習支援ができる、人なのか、物なのか、何かしらというのをしっかり引っ張ってこなきゃいけないというのはいろいろ悩んでいるところではあります。

 大手予備校のような録画授業で成立する層というのはもうすでに成立しているんですね。そうではない、わからないところがわからないみたいな子たちがいます。どこがわかってないか教えてほしいみたいな子たちって、やっぱり人から教わらないと、できないところがあると思うんですよ。

 そこを今はハングアウト(※)を使っていろいろ試しています。東京の学生と、こちらの高校生をハングアウトでつないで、黒板を写して解説したりして、手元をカメラで映してそこ間違っているよと指摘したりしています。トライアルを何回かやっていて、ちょっとずつよくはなってきており、手応えは感じています。それができたら、地方のそういう人材不足の壁って超えられるんじゃないかなと感じています。

※Googleが提供しているインターネットでのビデオ通話サービス。

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