—そして応募して、見事に決まったと。
だけど決まったのが4月になってからだったんですね。もうホップからの支援は3月で切れるというのは決まっていたので、本当に見切り発車でした。
その段階で、利用者さんにお金を払ってもらえないだろうかという話になっていました。国土交通省が無償の範囲というのを定めていて、送迎にかかる実費分の経費をもらう分には有償とはみなさないというのをそこで初めて教えてもらって、じゃあガソリン代実費分としてもらうのをお願いしましょうとなり、4月から協力費をもらうようにしました。それがけっこう大きい転換点でしたね。
また、様子を見ながら段階的に活動時間帯や曜日も決めて、お休みの日もつくっていきました。前の年のうちに、もう今は夜遅くてもタクシーがあるし、救急車もあるからと、まず時間の制限をつくって、夕方6時までにしていきました。その段階で県の補助も決まり、レラをより独立性のある任意団体という立場にして活動を続けていきました。
そんな感じで、新しい公共支援事業の申請を機にレラが地元主体の団体として独立性を強めて、2012年8月にやっとNPO法人の設立総会を開いて、認証がおりたのが今年の1月末。法人登記をしたのが2月でした。
移動に困っていた人が移動できたということ。これに尽きる
—人工透析の患者さんは当初から多かったのですか?
最初は2人くらいでしたね。だんだん増えていきました。透析の病院にチラシを貼ってもらっていて、たまにそれを見て電話してくれる人がいるという感じです。最初の方はここから40分かかるところに住んでいる人で、それまでは娘が送ってくれていたけど、娘も被災しておうちが全壊でとても来られないということで送迎を始めました。
そのうち桃生の避難所の担当職員さんから電話がかかってきました。今までは透析の人を送ってくれるバスが来てくれたんだけど、透析に行く人がその人と付き添いのだんなさんの1組2人になってしまったらバスが来ないことになっちゃった。来ないと言っても週に3回は必ず行かなくちゃならないのに、しかも桃生だからすごく距離がある。タクシー代でたしか片道5,000円くらいかかるんです。なんとかしてもらえないかという相談があって、結局私たちが送迎しますということになりました。
—最近、被災地で精神疾患が増えているというような話を聞くこともあるのですが、レラの利用者さんではそういう傾向はありますか?
今までわりと普通にしていた人が、精神科に通い始めたとか、ひどくなったという話は聞きます。全然よくならないという人がいたり、新規で精神科に通うという依頼があったり、毎日必ず精神科の依頼はあるんですね。
去年より今がきついという声を聞きます。ボランティアさんも誰も来なくなったみたいなことを言う人がいたり、気になる言動があったりして、精神科の利用が多いような気がするねって。からころさん(※)に聞いてみたら、全体でも多いだろうけど、特にレラに多いのはあまりまわりに知られずに行きたいというときに行きやすい、乗せていってもらいやすい存在だからという部分もあるんじゃないかということを言われました。統計的にどうなのかということはわからないけれど、レラの利用者ということで考えると、けっこう精神科の送迎は多いなというのは実感としてあります。
※からころステーションのこと。一般社団法人震災こころのケア・ネットワークみやぎが開設した精神保健活動の拠点施設。