キリスト教関係者による支援団体である東北ヘルプの中に、2011年の9月から正式に外国人被災者救援プロジェクトというのが立ち上がって、そこで私たちが一緒に活動することになりました。当初はまず調査活動を行いました。仮設を回りながら外国人のことだけを調査すると、外国人だけ差別化されて、逆に仮設の中で浮いてしまうので、南三陸では仮設自体を調査し、その中で外国人がともにいるのかというやり方を心がけました。

 南三陸では10月から2月までかけて63の仮設すべてを回り、南三陸町のだいたいの外国人の実態を把握することができました。南三陸以外のほかの沿岸部はどうかということで、石巻も調査しました。石巻は被災の規模が大きいし、仮設の数を考えても、これを一軒一軒しらみつぶしに調査していくのはとうてい難しかったので、石巻市役所にも協力していただき、東北学院大の郭基煥先生とアンケート調査を行いました。

 震災前には石巻市には750人の外国人がいたんですけれども、一年後の2012年の3月にアンケート調査を行ったときには450ほどになっていて、約300名減ったのはおそらく実習生だろうと言われていました。アンケートの回答が返ってきたのが4月に入ってきてからです。

 アンケートは無記名だったのですが、本当に困っていて、相談したいことがある方は連絡先とお名前を書いてもらうようにしました。そうすると連絡先を書いてきた人が多く、その人たちにアポイントを取りながら、市役所の中で面談をやらせていただきました。アンケートの回答率は25パーセントほどで、面談を希望した方はその半分くらいでしょうか。面談で何が一番の希望か訊きましたら、就労したい、社会参画したいという答えが多かったので、石巻では7月から日本語教室を始めました。日本語の支援だけでいいのかなと悩みながらやっていました。

—調査をしていて、困難な状況に陥っている外国人の方に出会った場合、どういう支援をしていましたか?

 ひとつは、外国人の方が行政の手続きなどがわからない場合の付き添いを行っていました。これは今も継続してやっています。外国人の方が役所に行くってハードルが高いんですよね。言語のサポートも必要ですし、ノウハウも必要ですので、外国人に対するパーソナルサポートもやっています。もちろん入管やハローワークに一緒に行くこともあります。行政の窓口、年金課に一緒に行くこともあります。

 また、仮設に入っている人、在宅で困っている人、それから貧困家庭になってしまった外国人の方には、フードバンクさん(※)からいただいた支援物資をお届けするような活動も行い、これも時間を見つけて今もやっています。

NPO法人ふうどばんく東北AGAINのこと。品質に問題はないが、規格外等の理由で市場に流通させることができなくなった食品を企業などから寄贈してもらい、その食品を福祉施設や生活困窮者支援団体に配布するフードバンク活動を行っている。

やり始めたら友達が友達を呼ぶ状態で、今や教室は多国籍に

—就労や、社会参画の支援として日本語教室も行ったのですね。

 はい。しかし、ただ日本語を覚えましょうということだけでなく、何か資格を取るということにシフトしていかないと大変だと思ったので、パソコン教室も開催するようになりました。彼女たちも仕事を求めて企業にアプローチはしているのですが、日本語のコミュニケーション能力が低いということと、スキルが低いということで落とされてしまうケースが多い。ハローワークでも、コンビニでアルバイトするにしても、パソコンできますかというのは訊かれることなので、パソコン教室を始めました。

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