長野:本当に一番困っていることは継続なんですよ。継続事業には、助成機関からのお金が出にくいんです。例えば日本語教室やっていて、2年目3年目になったときに、助成機関にこのまま続けたいと申請書を書いて出してもだめですよね。しかし、1年間外国人が日本語を勉強して、すぐに大きな成果は出ないんです。

 だから、介護とか就労のプログラムの申請に日本語教室のことも入れて、どうにか教室を維持できるようにしています。だけどそれだけでは限界があるので、資格試験を受けて何人が合格したとかの実績を書いています。われわれにしてみれば、何人合格者を出してではなく、何人生活ができるようになったかが大事で、そこをうまく表現したいんだけど、なかなか表現できていません。

 助成金を申請するにしても、本当に一番やりたいのは細やかに事業を継続することなんですよ。その継続を評価してくれるかどうか。3ヶ月なり半年でいろいろなプランをつくるというのは非常に難しいです。

ひとりでも20人でも1対1のつながりでやる。一括りに外国人と見ない

—今後、支援している外国人とはどのような関係をつくっていきたいですか?

千葉:おかげさまで被災地では、外国人が外国人を紹介してくれるというようになっています。日本語教室は、普通は参加者が減るんだそうです。でも僕らの教室では、自分がいいなと思ったら友達を連れてくるんですよ。なので、参加者が減らず、逆に増えています。

 中国人のほかに、どんどん韓国人も入ってくるし、そこにタイ人も来てくれるようになりました。僕らはひとりでも20人でも1対1のつながりでやろうと心がけていて、一括りに外国人と見ていません。ひとりの人としておつきあいしたいと思っています。彼女らも多分そう思ってくれているんじゃないでしょうか。

 インドネシア人で、子どもが二人いる子がいました。石巻で直接面談したときに、一番何したいって聞いたら、日本語をもっと勉強して資格を取りたいと。どうしてって聞いたら、子どもが小学生になるから、私は昼間の仕事がしたいと。夜、スナックでホステスみたいなことをやっていたそうで、ホステスだから時給は悪くはないわけですよ。だけど、子どものことを考えると、お昼に仕事をしたい。そのためには日本語を勉強しないといけない。

 その子に、日本語教室においでって言ったら、すごくいい子で、がんばり屋で、日本語を覚えるのも早かった。パソコンをやるよと言ったらパソコンも一番。介護ヘルパーの資格も取ってくれた。この子は石巻で就職も決まって、すごく嬉しかったですね。僕らとしては理想の流れです。未だにつながっていて、だからすごく嬉しい。彼女は僕らにとって成功例のひとりです。震災をきっかけにつながって、アンケートで来てくれて、面接して。教室にもほんとに来て、スキルを身につけてパソコンをやって、介護ヘルパーの資格も取って就職もできて。流れとしてはすばらしいです。僕らとしては、がんばっている姿も見て来たから、支援のしがいもありましたね。

1 2 3 4 5 6