そこでは別の課題が見えています。とにかくすごく子どもたちが荒れているんですよ。とても暴力的で、支援に入ったボランティアを殴る蹴るは当たり前で。震災前はそんなに荒れてなかったらしいんです。沿岸部に住んでいた子どもたちは広い家に住んでいて、本当に自由に遊んでいたのが、被災をきっかけに狭い仮設住宅に入ってきている。仮設は壁が薄いので、騒ぐなと押さえつけられちゃうんですね。親も子どもにそうかかわらざるをえないし、学校もしっかり勉強を教えるために言って押さえつけなければならない。子どもたちがストレスを発散できる空間というのが、震災後失われているんだろうなというのが支援していて感じていることです。
僕らはできるだけ力で押さえつける以外で、子どもたちと信頼関係をつくりながら、勉強しつつ遊びつつ、発散させつつ、どういうふうに変わっていけるかという実践にチャレンジしています。
一緒に出かけて、地下鉄の乗り方やハローワークの使い方を確認するところから支援を始めることも
—これが2011年の後半くらいにかけての第2段階の活動になるわけですね。それでは就労支援の活動について教えてください。
昨年度から、被災して仕事がない方、あるいは被災に関係なく仕事がない方の就労支援を始めています。これは仙台市復興事業局生活再建支援室との協働事業として実施しています。いろいろ議論を重ねながらやってきて、去年はだいたい70名ちょっとの方を支援して、18人の就労が決まりました。本当にいろいろな方に協力してもらい、生活再建につながる就労支援のあり方を模索しながら、支援のかたちをつくってきました。
これだけ話すと1時間かかるくらい本当に中身をつくってきたものになるのですけれど、すごく簡単に言うと、生活再建を目標にして、そのために必要であれば生活保護制度も使うし、就職した後も何かあったら辞める手伝いもするし、問題があったら解決するためのサポートもするし、再就職のサポートもします。生活再建につなげるということを目的に、単に就労だけではない、あらゆるメニューを用意しながら支援していくということをコンセプトとしてやっています。
震災前の宮城はぜんぜん仕事がありませんでした。有効求人倍率が平均すると0.6〜0.7とかで、下から数えた方が早いくらい。今は1.2とか1.3と倍増しているんですね。ここで言われるのが、仕事があるのに働けないのはおかしいと。やる気がない、意欲がない、義援金をもらっているから働かないんだという言われ方をされますが、そこで増えている雇用でまともなものはぜんぜんないですよというのが、僕らが支援していて感じることです。
—就労支援は具体的にはどのようにやっていらっしゃるんですか?
相談援助がメインになっています。しっかり状況をお伺いしながら、就職するのに何が壁になっているのか、阻害要因を一緒に把握していくことを、時間をかけてやっていきます。これをアセスメントと呼んでいます。なぜ自分が就職できないのか、感覚的にはわかっているけれど、はっきりとは把握していない方も多くて、そうした要因をひとつひとつ明らかにしていきます。
それではこの課題を抱えている場合はどうしましょうというのを一緒に考えて、プランをつくって一緒に就職活動をしていく。具体的なケースをお話しします。石巻から母子で仙台市の仮設に入っている方を支援していたのですけれども、その方はお子さんの面倒をみなくてはならないということで、そもそもここの事務所に来れなかったのですね。じゃあ僕らが行きますということで訪問をして、いろいろ状況をお伺いしました。