それぞれ意味があって、狐塚の方は被災者向けなので、被災者のやりがいづくりと、コミュニティ再生のきっかけづくりを目的としています。三本塚の方は、ただでさえボランティアとがれき撤去の業者しか来ない被災地に、一般向けの市民農園をつくることで人の往来を作りだしていき、コミュニティ再生のきっかけにしていくということがあります。

 さらに2012年6月から秋にかけて景観づくりのためのひまわりプロジェクトを行いました。二木と荒浜地区に約2万本のひまわりを植えます。夏にはひまわりで景観を再生して、秋には種を取ってひまわりオイルに加工します。福島市で障がい者支援をしている「NPO法人シャローム」さんとやっているプロジェクトで、ひまわりオイルの加工はシャロームさんが行います。

 震災から2年後は、まだまわりは真っ茶色で、垣根もいぐねも花もないし、防風林もない状態です。風景が失われるということは住んでいる人にとっては自分の心象風景が失われるということですので、景観を取り戻すために花を植えていき、非常に喜ばれました。

 2012年11月には若林区復興支援ショップりるまぁとがオープンします。毎週土曜日仙台朝市に地元の農家ががんばって作った野菜を出しています。基本的に、有機肥料を使い、無農薬もしくは減農薬でつくった品質のよい野菜しか販売していません。

 今年は震災から2年を超えますので、より農業を通じて復興を促せるように、田植えプロジェクトとさつまいもプロジェクトを行っています。農家自身がボランティアや市民を受け入れながら、農業の喜びや若林区の復興の取り組みを伝える。そしてファンを増やしていって、また来てくれるようにする。植えるところから収穫までを何回かに分けて、人をつかんでいくようなしくみですね。

—被災者の農家の方が指導してくれる農園ということですね。

 ReRootsファームや市民農園、サツマイモ・田植えプロジェクトはそうですね。それをやっている途中です。あと、今年の4月からパーソナルサポートセンターの中間就労支援の受け入れを始めています。農地を活用して、中間就労のための、社会復帰というか職場復帰のためのプロジェクトを組んでいます。そんな感じで、早い段階から復旧支援をしつつも、復興に向けてのいろいろなプロジェクトを組んでいます。

—現時点では農地の復旧はあらかた済んだのでしょうか?

 残ってはいるのですけれど、たぶん今年の秋冬で見通しはつくと思います。田んぼに関しては行政がやっているので僕らは手を出しません。畑に関しては、残っているところは残っています。移転してしまえばやらないかもしれないという人や、畑を続けるか迷っている人もいて、そうしたところがまだ残っています。

 移転先が近ければ通いで農業ができるけれど、遠いとできません。そうじゃない、やる気がある人の農地に関してはどんどん復旧をやってきていますから、そういうところは今年中には終わる見込みです。僕らとしてもそのへんで終わりにして、早く復興の方に変化していきたいと思っています。

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