海岸沿いの荒浜地区とか、藤塚地区とかは移転しなくてはいけないところなので、農業を続ける人は通い農方式になります。通い農になったときに、今の世代の人はやるかもしれませんけれども、若い人がそれをやるかというのは大きな問題になってきます。

 内陸2キロのここは現地再建地域なので、通い農をしている人ともう地元に戻ってきている人とがいます。よって、コミュニティをどう再生するかということと、通い農であれ、地域のつながりをつくりながら農業を維持していくということが重要になります。そこは今までとは違った農業と農村スタイルになっていくんですよね。過渡期でまだ姿が見えてこないので、新規就農者もこの中に引っ越してきて、家を建ててというのは難しいですね。

—復興支援ということでは、今後の展開として他にどういうことを考えていますか?

 例えばですけれど、ReRoots独自で農業部門を強化していって、農業をする。畑とかはやってくれと言われているのはたくさんありますが、できれば何年か先にReRootsの非営利の農業法人と人の往来を作り出すNPO部門とかできるといいなと思っています。非営利の農業法人は収益はあげますけれど、それで地域の文化形成や景観形成、コミュニティづくりとかに貢献できるような農業ですね。

 もう一つは、この地域が持っている農業、自然環境などを活用した、人の往来づくりやしくみづくりです。農業の持っている役割は、生産して加工して販売するという生業としてのものと、福祉や食育、環境教育などと結びつく、NPO的なソフト面のものがあります。そうした農業のソフト面は開発できることがもっとたくさんあるんですよね。そういう部門を作り上げていこうかなと。

 小中高生の農業体験の受け入れや食育、それから大学生の農業インターンをやったりですとかね。もし新規就農者ができるのであれば、農業研修を農家のファームステイのような形で受け入れるというのも考えられます。

 そういうふうにして、この地域のことをやっていく。農業の生産販売部門と、人の往来をつくって地域活性化を促すような部門の大きく二つをつくっていくだろうと思います。最後に、ReRootsは、今までも、現在も、これからも、常に現実から出発して若林区の復興と農業の再生を促す「媒介」であり続けたいと思っています。

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