—乗合タクシーはどこからスタートするんですか?

 自宅の前に来てくれます。降りる場所は決められているけど、20ヶ所くらいから選べて、その中には市役所があったり、スーパーがあったり、集会所があったり、内科外科歯医者眼科ひととおり目的地がそろっています。予約制ですが、一時間ごとに来てもらえる時間を選べます。

 ただエリアが決まっていて、そのエリアに住んでいる人しか利用できない。しかも、案内がすごくわかりにくいんです。乗合タクシーということは一人で使えないとみんな思っている。そんなもったいないことがあったので、レラで乗合タクシーの案内をつくったんですよ。

—乗合タクシーをやっているのはタクシー会社ですか?

 タクシー会社がやっていて、市が補助しています。バス路線が廃止になるときに、代わりの交通として乗合タクシーをつくったのですが、なかなかみんなうまく利用してくれない。乗合タクシーのエリアが震災前のエリアなんですね。震災後に明らかに交通の不足している地区というのがあって、レラのリストをみたら渡波がそういうエリアで、そういうところに一個つくってもらえるといいのではという意見を出したのですが、エリアは広がっていません。

—残された課題はどのようなところと捉えていますか?

 ボランティアに頼らず、地域に住んでいる人たちでやっていけるのが一番いいですよね。だけどそうじゃないからニーズが減らなくてレラも必要とされています。

—石巻地域における、移動についての課題は今後どのようになっていくと考えていますか。

 被災者支援というのから、日常の移動が困難な人たちへの支援という方向にどんどんいくでしょうね。不便な仮設に住んでいるという人もいるけど、体が悪くて移動できないというような、もともと持っていたような問題というのはなくなりません。

 被災地の支援という部分ということでは、せめて仮設住宅があるうちは今の活動の対象者の人たちを福祉有償運送の特別枠みたいなところに組み込んでもらって特例期間という形にして、送迎を行うとかそういうことを検討してもらいたいという方向で、いろいろなところに話を持ちかけたりはしています。

 まずは復興という期間をなんとか継続していけるようにしたいと思いつつ、復興という期間がいつまであるのかわからないけれど、復興という色はだんだん薄くなっていきます。復興と誰も言わなくなったときでも、それとは関係なくあり続ける。そういう存在になりたいということはあります。

 送迎を始めたときから、石巻は支援学校を卒業した重度の身体障害者の行く場所がないと言われていました。結局みんなどうしてるかというと、重度の身障者の人は仙台とかの病院に入って、ずっと病院にというのが、今の状況だそうです。重度の障害がある人たちの行く場所がもし足りないというのであれば、そういう支援を検討するのもいいかもしれないと考えてはいます。

 レラじゃなくても、移動じゃなくてもいいんです。レラである必要はなくて、困っている人が困らなければいいと思っています。

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